うつ病・治療編|代表的な病気
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- うつ病・治療編
経過
未治療の場合、うつ病は6〜12ヶ月続いた後に自然に軽快するといわれています。適切な治療をうけた場合は、多くが3〜6ヶ月で回復します。しかしうつ病を経験した患者さんの約60%が再発し、その多くが回復後2年以内におこると言われます。現在のうつ症状を「治す」ことだけでなく、再発を減らす工夫を考えることが重要です。
治療
- 治療効果を上げる最大の要因は「休養」といわれます。勤務の軽減、家事の代行など、ともかく取り除けるストレスはなくすことです。このような「環境作り」によって、「ダムの水」が徐々に貯まってくる条件が整うのです。
第2に、抗うつ薬の服用も重要です。薬は神経伝達物質の代謝を正常化させる上で非常に有効であり、うつからの回復を早めてくれます。この2つが、治療の2本の柱です。
さらに、うつ病を悪化、長引かせる認知や性格的な要因が大きい場合は、本格的な精神療法(予約の精神療法)を検討します。
- 回復には「ステップ」があります。
- 安静第一の時期
- うつのつらさが緩和し、初期の回復兆候がでてくる段階:まず不安焦燥感が消え、ついで憂うつ感が和らぎます、意欲の低下は比較的後半までつづきます。
焦りは禁物です。「復帰」を考えることは暫く控えて、自分の気分と体調への「気づき」を磨いてください。これが後になり生きてきます。
- 意欲の回復がはじまったのを見極め、徐々に活動範囲を広げ、ストレス負荷をふやします。「一進一退」がありますが、「こんなものだ」と思いましょう。
- そして社会復帰に進みます。
どの回復ステージにあるのか、その見極めが重要です。医師と相談しつつ、その段階にあった治療課題をクリアしてゆきます。
- 再発を繰り返す場合、自宅療養が長期におよんだ場合は、復職前にリワークプログラムを経験すると、よりスムーズに仕事に戻れるようです。必要に応じてご紹介いたします。
抗うつ薬療法の注意点
薬を使わない場合もあります
軽症の「うつ」、適応障害、神経症性の「うつ」などについては薬を使用せずに治療を開始することもあります。経過をみて、薬物療法の適応を見極めます。
薬を飲むことへの不安、躊躇いは強いものです。遠慮なく仰ってください。薬の副作用と効果をよく理解した上で、患者さんご自身に決めていただくのが基本です。
抗うつ薬の種類と選択
抗うつ薬はSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)が第一選択薬とされています。各薬剤の効果に大差はないため、(1)副作用(消化器系副作用、眠気など)、(2)効果発現のスピード、(3)うつ症状のタイプ(不安焦燥感が強いか、意欲低下の方が顕著か)などを考慮してきめます。その効果は60〜70%といわれています。
抗うつ薬療法の実際
単剤からはじめ、効果がでるまで漸増してゆきます。抗うつ薬の効果を評価するには4〜6週間を要するとされています。すぐに良くならないからと言って、自分の判断で服薬を変更、中断せず、ご相談ください。効果が不十分な場合、他剤への切り換えを検討し、うつ症状を十分にコントロールできる(寛解させる)薬を探します。
離脱症状
注意しなければならない副作用として離脱症状があります。SSRI(パロキセチンなど)を少なくとも1ヶ月以上投与した後、中断あるいは減量した時に、一時的に平衡感覚の異常、知覚の異常(皮膚のピリピリ感など)が出ることがあります。依存症とは違い、断薬のスピードを緩やかにすれば回避できますし、薬を抜くことも可能です。
減量と断薬
症状改善後、すくなくとも6ヶ月以上は抗うつ薬の服用をつづけることが、再燃、再発予防のために重要だと考えられていますので、勝手に中断せず、医師と相談しつつ減量、断薬を行ってください。
再発予防
先ほど述べたように、うつ病の60%は再発すると言われます。それを回避するためのポイントをまとめました。